【報告・動画あり】アジア自由民主連帯協議会主催講演会「これからの南モンゴル運動」

5月22日、東京四谷の会議室にて、アジア自由民主連帯協議会主催講演会「これからの南モンゴル運動」が開催されました、参加者は約25名、講師はオルホノド・ダイチン氏。

先ずダイチン氏は、これまでの様々なモンゴルの独立運動と、その時期ごとに掲げられてきたモンゴルの国旗をスライドで紹介し、そして、現在自分たちクリルタイ(世界南モンゴル会議)が使っている旗は、80年代に中国国内で運動を始めたジョショープト・テムチルト氏が、亡命後、内モンゴル人民党を復興した時に定めた党旗で、これがクリルタイに民族自決の象徴として引き継がれたことを紹介しました。

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講演する「南モンゴルクリルタイ」幹事長オルホノド・ダイチン氏


その上でダイチン氏は、自分たちが中国の言う「内モンゴル自治区」という言葉は使わず、「南モンゴル」という名称を使う意味から説明を始めました。まず「内」「外」という言葉は、中国の立場から「中国の中にあるモンゴル」「国境の外にあるモンゴル」と、勝手に分断している言葉であって、モンゴル人にとっては受け入れられない。そして、現在中国が認定している内モンゴル自治区の他にもモンゴル人が住んでいる地域が隣接しており、それも私たちはモンゴルの領土と考えている、この二つの理由から、内モンゴルという言葉は受け入れられないとダイチン氏は強調しました。

その上で、文化大革命の時代には、モンゴル人は肉体的に、拷問を受け、処刑され、牢獄に入れられるというジェノサイドを受けたが、現在の南モンゴルで起きていることは、モンゴル人から言葉も、文化も、歴史伝統も、生活様式も、そしてモンゴル人の精神も奪い、破壊している、まさに文化的ジェノサイドが行われていると批判しました。

その一例として、現在の南モンゴルの学校の映像を指摘し、中国の警察が学校内に入り、授業を監視している、こんなことは普通の国ならありえない。これは、昨年から、中国政府が南モンゴルにおけるモンゴル語教育を廃止する方向にはっきりと向かい、それに抗議する親たちは子供を学校に生かさないようになり、また、子供たちも学校から脱走して抗議する事態となった。この抗議運動には約30万人のモンゴル人が参加し、これに対し、中国政府は暴力で抑え込み、こうして強制的に教育が監視下で行われているとダイチン氏は述べました。

そして、この抗議運動に参加した人々への弾圧は激しく、深夜12時に警察は運動に参加した子供や親を突然さらうなど、約1万人が拘束されている、おそらく実数ははるかに多いと思うが、今も刑務所に入れられたままの人や行方不明の人が多いとダイチン氏は指摘しました。特に昨年の9月から10月にかけ、モンゴルの一つの村から10人から15人が拘束され、「再教育」という名前の事実上の収容施設に入れられてしまった、そして、そこを仮に出ても、職を失ってしまえば事実上モンゴルでは生きていけない。南モンゴルではそのように人々が追い詰められていると述べました。そしてこの弾圧のために効果的なのが、ウイグルなどと同様、全土に配置された監視カメラで、日本製のものもあると言われているが、最新式の技術で人々の情報が管理され、日常の行動が監視されているとダイチン氏は述べました。

そして、今年2021年は中国共産党結成100周年とされ、各地でそれにちなんだ祝賀イベントが行われている、其の為、南モンゴルでも「永遠に共産党と私たちは共にある」というスローガンがあらゆるところに貼られ、「モンゴル人と漢人は同じ家族」といったテーマでの子供たちの朗読会が行われ、「中華民族」という、すべての民族が中国国内で漢民族のもとに集約されてしまうような言葉が使われていると、ダイチン氏は中国政府の全体主義体制を批判しました。

そして、既にモンゴル語の教科書は学校から廃棄され、学校の壁に刻まれていたモンゴル語までも塗りつぶされ、新たに「中華民族の共同体意識を持とう」といったスローガンが書かれている。既に南モンゴルの学校は収容所や洗脳機関と同じだとダイチン氏は批判しました。

そしてダイチン氏は、、今年になって、日本の国会議員の間で南モンゴル議員連盟が結成されたことに触れ、このことは、これまで様々な人々が日本で運動をしてきたことの成果だと思う、そして我々モンゴル人は、日本を中心に、欧米に住むモンゴル人、そして、今独立しているモンゴル共和国との連帯、さらには、海外のモンゴル人の連帯を、今、中国で戦っているモンゴル人との連帯に繋げていかなければならないと、今後の運動の目標を語りました。

さらにダイチン氏は、その上で、いま日本で活発に活動しているウイグル人の運動は、私達にとって、大変励みにも模範にもなる。ウイグル人たちのように、全国的な証言集会や講演会を行うために、国会議員連盟だけではなく、地方議員連盟もぜひ作り出していきたいし、日本の地方議員の方々にご支援を頂きたい。また、大切なことは日本国民の皆様に、この南モンゴルの運動の本質を理解してもらうことであり、国民の理解と支持がなければ、議員の方々の努力も実らないだろう、将来的には、この南モンゴルの問題が、日本の外交や国政、選挙のテーマの一つになるところまで理解を拡げて行かなければならないと述べました。

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(同じくクリルタイのジリガラさんもいらっしゃいました)

最後に、国際社会への広報宣伝がもっと必要で、これは自分が国連に一度だけだが行ってみて分かった、チベットやウイグルの運動は、欧米の団体が支援し、現場で各民族の主張を代弁したり、国連の場で訴えたりして、様々な協力をしていた。自分たちモンゴル運動はも、そのような理解者を国際的にも作り出していかなければならない。
南モンゴルクリルタイは、「世界南モンゴル会議」であって、一部で誤解があるようだけれど、政党でも単なる一組織でもなく、国際的な南モンゴルの団体の団結と連帯組織であり、今後もそのような組織として、南モンゴルの問題を日本国内でも国際的にも訴えていきたいと述べて講演を終わりました。(文責 三浦)

來源:https://freeasia2011.org/japan/archives/6078