「中国が文化的ジェノサイド」南モンゴル会議代表 日本の関与訴え

中国・内モンゴル自治区でのモンゴル民族の自決権確立を目指す国際組織「世界南モンゴル会議」のショブチョード・テムチルト代表が亡命先のドイツから来日し、12日までに産経新聞のインタビューに応じた。同自治区は教育現場などでモンゴル語の使用が制限され、抗議する人々が中国当局に拘束された。テムチルト氏は自治区の一部が戦前の満州国だったことなどに言及し、「非人道な中国の政策を止めてほしい」と日本の関与を訴えた。

--2020年秋以降、自治区の小中学校で標準中国語の使用が決定された

「モンゴル人は抗議活動を起こしたが、5千人以上が刑務所に入れられた。モンゴル帝国の始祖、チンギスハンの肖像画が教室から撤去され、看板に書かれたモンゴル語が消された。今もモンゴル人社会は心理的圧力を受けているが、家庭で子供にモンゴル語を教えるなど手法を変えて抵抗を続けている」

--中国語教育の強化に抵抗する理由は

「『文化的ジェノサイド(集団殺害)』だからだ。モンゴル語が話せなければ、モンゴル人の心理的な架け橋が無くなる。祖先から伝わった文化の志を子供たちに伝える道が閉ざされる」

--1960年代の文化大革命(文革)でもモンゴル語の使用が制限され、中国当局の公式見解で3万人のモンゴル人が殺害された

「49年の中国の建国に伴い、南モンゴルが自治区として扱われて以降、中国政府は計画的に文化的ジェノサイドを行っている。満州国時代に日本語教育を受けたモンゴル人の価値観を変える狙いだろう。文革で私の祖父も殴り殺された。文革はモンゴル民族を消すための活動だった」

--習近平・中国共産党総書記(国家主席)が異例の3期目続投を果たした

「習政権に意見をいうのは時間の無駄だ。ウイグル人の強制収容のように、もっとひどい政策をモンゴル人に行うのではないか」

--日本に求めることは

「政治的対話で中国政府による非人道的な行為の拡大を阻止してほしい。日本は戦後、アジアで初めて人権や法の支配、民主主義を確立した国だ。戦前の満州国建国を通じ、モンゴル人と自由と民主の国を作ろうとした歴史もある。民主的な国と一緒に中国の脅威に対抗しないと人類が中国に食われてしまう」

(聞き手 奥原慎平)

産経新聞より転載 https://www.sankei.com/article/20221112-KE32I2QECROLZJN2SLD74ADTGI/photo/DMDGDIWFUBOLNNLQ2WQ4AH4HM4/