南モンゴルの作家ボルジキン・ラムジャブ氏の中国政府による「拉致」に抗議する声明文

南モンゴルの作家ボルジキン・ラムジャブ氏の中国政府による「拉致」に抗議する声明文

報道によれば、中国の警察当局者が5月3日、モンゴル国に滞在していた南モンゴルの作家 ボルジキン・ラムジャブ氏 を拘束し、強制的に中国に連行したことを伝えています。

ボルジキン・ラムジャブ氏 は、モンゴル語で文化大革命時代の実態を告発した著作『紅色革命』(Ulaɣan Qubisqal, 2012)を出版し、中国政府はただちに著者を逮捕し、2019年夏に懲役二年の実刑判決を言い渡しています。中国政府は文化大革命の過ちを表面上では認めていますが、その時期に南モンゴルで行われた民族ジェノサイドに対し、モンゴル人作家が母語で訴えることは厳しく禁止しているのです。これはいまだに南モンゴルにおいて文化ジェノサイドが持続していることにほかなりません。

ボルジキン・ラムジャブ氏 が、弾圧と監視体制の厳しい中国を逃れてモンゴル国に移住し、そこで自由な執筆活動を行おうとしていたことは、南モンゴル人権情報センターが報告している同氏の発言でも確認されています。ボルジキン氏はすでに3冊の本の準備に取り掛かっており、こうして同氏を不当に強制連行することは、言論弾圧のみならず、モンゴル国への主権侵害であり、中国政府による「拉致事件」にほかなりません。

私たちは言論の自由を守り、中国の主権侵害と犯罪に抗議し、 ボルジキン・ラムジャブ氏 の即時釈放と、モンゴル国への帰還を求めます。

私たちは以下の3点を、中国政府、モンゴル国政府、そして日本政府並びに、この広島で開催されるG7各国首脳に求めます。

1,モンゴル国政府は、モンゴル国への主権侵害である ボルジキン・ラムジャブ氏 の不当拘束と中国への強制連行に断固抗議し、 ボルジキン・ラムジャブ氏 の釈放とモンゴル国帰還を求めてください。

2、中国政府は直ちに ボルジキン・ラムジャブ氏 を釈放し氏の希望する第三国への出国を認めよ。拉致と強制連行という国家犯罪をすべてのモンゴル人は許さないことをここに宣告する。

3、日本政府は、中国政府が不当に逮捕し拘束している自国民の救済同様、この ボルジキン・ラムジャブ氏 の問題もぜひ人権問題としてG7サミットで提起してください。そしてG7首脳諸国も、このアジアにおける人権問題に対して、ぜひここ日本で強い中国への抗議の声を上げてください。

2023年5月16日

南モンゴルクリルタイ

世界モンゴル人連盟