国際人権デー声明掲載のお知らせ
― チェ・ムンヘバヤル氏の即時釈放を求めて ―
2025年12月10日、国際人権デーにあたり、南モンゴルクリルタイ(世界南モンゴル会議)は、現在モンゴル国で収監されている副会長 チェ・ムンヘバヤル氏(Ch. Munkhbayar) の即時かつ無条件の釈放を強く求める声明を発表しました。
本声明では、同氏に対する懲役10年判決が、南モンゴルの言語・文化・教育権をめぐる人権活動への報復である可能性を指摘し、これが中国当局による越境弾圧の新たな段階を示す重大な前例であると強く警告しています。
さらに、南モンゴル人権問題に関与する外国人までが危険にさらされている現状に深い懸念を示し、モンゴル当局には公正な再審査と国際基準に沿った人権保障を、中国政府には越境弾圧の即時停止を求めています。
国際社会に対しては、言論の自由・学術の自由・人権擁護活動の安全を守るための監視と連帯を呼びかけています。
声明全文は以下よりご覧いただけます。
国際人権デー声明
チェ・ムンヘバヤル氏の即時釈放を求める
中国の越境弾圧の最悪例として
2025年12月10日
南モンゴルクリルタイ(世界南モンゴル会議)
2022年の拘束と懲役10年判決
チェ・ムンヘバヤル(Ch. Munkhbayar)氏は2022年、モンゴル国で拘束され、同国の司法手続きにより懲役10年の判決を受け現在も収監されている。表面的には「国内問題」に見えるが、弁護士への説明として「外国情報機関との協力」や「モンゴル・中国関係への悪影響」など政治的意図を感じさせる理由が示されたとされ、透明性に重大な疑問がある。
南モンゴル人権活動への関与こそが最大の“理由”であるとの深い懸念
南モンゴルクリルタイは、ムンヘバヤル氏が長年にわたり南モンゴルの言語権文化破壊、教育権侵害について国際社会へ発信し、当会の創設期から中心的に関わり、人権報告書の編集にも携わってきたことこそが、彼の拘束と重刑の主要因であると強く懸念している。これらの活動は、中国当局にとって常に標的とされる領域である。
本件は「越境弾圧」の最悪例である
本件は、中国政府が域外の人物・団体へ圧力を及ぼす「越境弾圧(transnational repression)」の構造の中でも最も深刻な典型例の一つである。従来は主に南モンゴル人や在外のモンゴル系中国国籍者が対象であったが、今回のケースは質的に新たな段階を示している。
外国人が南モンゴルの人権を支援するだけで“危険”に晒されるという新段階
ムンヘバヤル氏はモンゴル国民であり、中国国籍ではなく、中国法の適用対象でもない。それにもかかわらず、南モンゴルの人権を擁護し中国の同化政策を批判した外国人が、自国の司法制度の下で重刑を受けるという危険な構造が現実化している。これは、中国の越境弾圧が「南モンゴル人」から「南モンゴル人権問題に関わる外国人」へと標的を拡大した極めて深刻な前例であり、言論の自由と国家主権に対する重大な脅威である。
南モンゴルクリルタイの要求
ムンヘバヤル氏は先日の第三回総会において副会長として再選され、その貢献は拘束下にあってなお国際的な尊敬を集めている。南モンゴルクリルタイは以下を強く要求する。
・ムンヘバヤル氏の即時かつ無条件の釈放
・モンゴル国に対し、公正・透明な再審査と国際基準に沿った人権保障の徹底
・中国による越境弾圧への国際監視体制の強化
・南モンゴルの言語・文化・表現の自由を守る国際的支援の拡大
・外国の人権活動家・研究者・ジャーナリストへの圧力を許さない国際ルールづくり
結語
ムンヘバヤル氏の自由は一個人にとどまる問題ではない。これは国境を越える政治弾圧の新段階の到来を示し、世界の人権活動家・研究者・ジャーナリストの安全にも直結する。南モンゴルクリルタイは国際人権デーにあたり、国際社会に強く訴える。
チェ・ムンヘバヤル氏をただちに釈放せよ。
越境弾圧という国際秩序を破壊する行為を直ちに停止せよ。
2025年12月10日
南モンゴルクリルタイ(世界南モンゴル会議)
会長 Shovchuud Temtselt
共同代表 Olhunud Daichin

