深層NEWS 中国の人権問題に日本はどう対応?

ウイグル人ジェノサイド否定発言に抗議

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中国の人権問題に日本はどう対応?

鈴木 こんばんは。深層NEWS、鈴木あずさです。今夜も久野静香アナウンサーとお伝えします。

 さて、こちらは日本ウイグル協会から提供された映像です。新疆ウイグル自治区の強制収容所に捕らえられた人々が中国本土へ移送される様子だということです。目隠しをされ、拘束をされている人々の列。映像をよく見ると、すべての人が髪を剃られているのが分かります。世界各国から中国の人権弾圧への批判が高まる中、日本は中国とどう向き合えばよいのでしょうか。

 本日のゲストです。自民党外交部会長の佐藤正久さんです。よろしくお願いします。

 佐藤 よろしくお願いします。

 鈴木 そして東洋学園大学教授の朱建栄さんです。よろしくお願いします。

 朱 よろしくお願いします。

 鈴木 アメリカは、トランプ政権もバイデン政権も、中国がウイグル族などにジェノサイド、民族大量虐殺を行ってきたと認定しています。久野さん、お願いします。

 久野 はい。先月19日、当時の国務長官ポンペオ氏は声明で、中国政府はウイグル族など少数民族に対し、身体的な自由を剥奪、強制的な不妊手術・強制労働などを行っていると指摘しました。その上で中国政府が国際法上の犯罪となる民族大量虐殺を行ってきたと認定しました。そしてバイデン政権でもブリンケン国務長官が先月27日、就任後初めての記者会見で中国が大量虐殺を行っているとの見解をあらためて示し、人権問題には厳しく対応する姿勢を強調しました。

 一方、中国メディアによりますと、中国の報道官は先月27日、いわゆるジェノサイドはそもそも全く存在しないもので、特定の反中勢力が意図的にでっち上げた嘘であり、徹頭徹尾中国を中傷し、中国のイメージを棄損する茶番であるとわれわれは繰り返し述べてきたとコメントしています。

 このウイグル族に対する中国政府の行為は大量虐殺いわゆるジェノサイドに当たるのか、佐藤さんはどのようにお考えですか。

 佐藤 大量虐殺というふうに単純に訳すのではなくて、ジェノサイド条約によるジェノサイドの定義というのはもっと幅が広くて、大量虐殺というものから人口抑制のための強制的な不妊治療とか強制労働、あるいは収容・拷問とか結構幅が広いんです。そういうことを考えると、今回ウイグルで行われているような、まさに400を超えるような再教育のための収容施設とか、アメリカが言うように100万人以上の強制労働と。だからウイグル人権政策法というのを去年6月に議会で超党派で通したんです。実際に強制的な不妊治療、悲惨な状況によって人口が急激に減っているということを合わせると、これは一種のジェノサイドといえると私は思います。

 鈴木 朱さん。中国政府は、ジェノサイドは存在しないと否定しているようなんですけれども、これについてはどのように見ていらっしゃいますか。

 朱 直接答えると話が長くなりますけれども、間接的に二つの角度を提供したいと思います。2019年、コロナの前の年ですけれども、中国全国各地から新疆に2億人が観光に来ました。本当に現地でジェノサイドが、実際にウイグル族などが抑圧されているというところであれば、2億人が遊びに行けますか。

 第二に、僕の学生が見て教えてくれるんですけれども、中国在住の日本人留学生がウイグル、カシュガルなどに旅行に行って、全部自分で映像を撮って、いまYou Tubeにアップしているんです。彼らは自由で、個人で行っているんです。こういう雰囲気の中で本当に虐殺が可能か。私はまず、そのような話を外からただ一方的に言うより、もう少し中味を見るべきだと思います。

 鈴木 ただ、私も中国に2年いた経験で申し上げると、こうした施設があった場合でも、中国では報道とか規制も大変厳しいですし、なかなか中に立ち入ることができないと思うんです。再教育訓練所みたいなところがあったとしても、一般の観光客はおそらく入れないと思うんですけれども。

 朱 こういう施設というのは、だって100万人と言われているんでしょう。100万人の施設というのはどこにあるのか。実際にいろいろな施設について、主に情報を提供しているのはオーストラリアの研究所、ASPIです。

 ところが、その提供したものを一般の学者がGoogleで細かく調べれば、全部嘘だということが分かっているんです。例えばトルファンのところは現地の行政のビル。カシュガルの拘束センターというのは現地の養老施設、物流センター、学校であると。そういうところも、ただ上から見て、囲みや壁があるところはみんなそういう施設だと勝手に決めること自体、私は真実ではないと思います。

 鈴木 佐藤先生、どうぞ。

 佐藤 これはGoogleを含めて、いろいろな衛星写真はいっぱい出ています。実際に中国の新疆ウイグル自治区のトップあたりは、もうその教育はあったと認めているんです。実際認めている。ただ、19年で終わったというふうに言っているんですけれども、実際見ると、施設というのは、青い部分がそうなんですけれども増えていたり。こちらの映像はもっと分かりやすい。下のほうが前なんですね。いまも出ているじゃないですか。この周りも異様な感じで壁になっていて、調べてみると、13メートルの壁なんですよ。

 実際こうやって見ると相当施設的なものもあって、中国政府が認めているんです。19年で終わった、それまではやっていると。それは貧困対策とか、テロ防止のための教育をやったと言っていますけれども、実際いろいろな証言が出ているのを見ると、やはりそういう施設が全然なかったというのはあまりにも強弁過ぎる。いろいろな証拠が出ていますから。実際政府も再教育をやったり、そのための語学教育をやっているのを認めていますから、そこは冷静に見るべきだと思います。

 朱 語学をするところになぜ13メートルの壁が必要ですか。ですからそれ自体が、もう一つの先入観を持って、だからあると。実際こういう映像というのは、基本的にオーストラリアが提供しているというのははっきりしているんです。そういうのが一つ一つ嘘というのは、もう証明されているんです。ですから施設の中味についてはこれから議論しますけれども、ただそういう映像があった、だからあるというようなことは、私はちょっと。あまりにも突飛すぎです。

 佐藤 映像だけではなくて、中の強制収容所の「逃がすな」とか、いろいろな文書が流失したじゃないですか。それは非常に、BBCのほうでスクープになりましたよね。

 鈴木 そうですね。

 佐藤 そういう中国政府の文書がこと細かく出ているということもありますから、そこは全部推測というわけではありません。西側諸国を含めて、推測でこれだけ多くの国々がこんな証拠は出しませんから。実際にこのような形で流失文書が、「絶対逃がすな」と。

 鈴木 “Never allow escape”と書いてありますね。

 佐藤 これは英語で注釈を付けていて、上の中国語がそうなんですけれども、そういう文書がいろいろ出ているわけです。流失。どうしても100パーセント防ぐというのは難しいですから。そういうことも踏まえて、冷静に議論すべきだと思います。

 朱 それは本当にテロをやった人たちを拘束する施設で、一般の教育とは全然違います。一般の教育でなぜそこまでする必要があるのかと。そういうところをもうちょっと常識的に考えて。しかも、そういうところで100万人も拘束すれば、新疆というのは、特に南新疆というのは、人が住めるところはオアシスだけです。それ以外はみな砂漠です。どうやって砂漠の中でこういう施設をつくるのか。こういう施設というのは、いま出ているのはみんな市内です。市内というのはみんなすぐ分かります。こういうのはちょっと、私はただの想像ではと。冒頭に映像で、海外から拘束されて中国に連行されたと。そもそもどこの国が拘束して中国に送り返したのか。その話がないんですね。

 鈴木 いえ、これは海外からではなくて、日本ウイグル協会によりますと、新疆ウイグル自治区の強制収容所に捕らえられた人が中国本土へ移送される様子ということなんですね。

 朱 新疆から中国本土というのはどういうことですか。

 鈴木 本土というか、新疆ウイグル自治区以外のところということですね。

 佐藤 確かにウイグル自治区というのはすごい都会らしいんですよ。ただ大使館の人間が行っても、朱さんの話と違って、許可が下りなくて行けないそうです。ウルムチにすら。行ったらもう監視は付きますし。

 行っても携帯にいろいろなアプリを入れられて、位置情報を含めて全部監視される。特に朱さんが言われたような南新疆ウイグル、これは確かに貧しい地域です。そこのほうにはとても大使館の人間を含めて、一部の行った人という話もありますけれども、いま日本の大使館の人間は全然行くことができない。これが事実です。

 朱 それについて、ちょうど去年の10月にアラブ諸国20カ国の使節が新疆各地を回りました。回っていて、そのようなジェノサイドがないということと、再教育というのは自分の国にとってもやはり、こういう貧しい人たちがもっと教育を受けて仕事に就くということを学ぶべきだという人もいます。例えばいま捕まえているそういう一部は明らかに、おそらくテロやそういう関係の人でしょう。でも、こういうのは一般の人とはまたちょっと違うので。アラブ諸国というのは、言ってみれば同じ民族、同じ宗教。怒るなら先進国ではなく、まずイスラム、アラブ諸国が怒るべきじゃないですか。いまどこのアラブ諸国が怒っていますか、佐藤さん。

 佐藤 アラブ諸国というか、まわりのキルギスとかタジキスタンを含めて、いろいろな情報があります。実際、東トルキスタン運動という一番過激な部分がありますけれども、周辺国でこれについて疑問を呈しているところは当然ありますし、子供の語学教育のためにあんな施設はいらないじゃないですか。なぜ子供の語学教育にああいう施設なのか。もっと学校的なものでいいじゃないですか。

 朱 いまの話はちょっと違います。

 佐藤 だからああいうふうに多くの、いまの映像にあったように、ほとんど大人じゃないですか。大人に対して語学教育なんかいらないですよ。実際にそこでの証言を見ると、そこでアラブ人に生まれたのは罪だということまで教育される。あとで映像が出てくるかもしれませんけれども、これは普通に考えても尋常ではない。逆に、朱さんのように中国に関係が厚い人がいるのなら、中のほうからこういうことは絶対やめるべきだと。もう少し世界にオープンに、なぜ日本の大使館の人間は行けないのか。行けるようにするように朱さんが働きかけるべきです。

 朱 私はその点でまさに言いたいんですけれども、佐藤さん、ぜひ現地にいらしてください。こういうようなところで間接的な情報の話より現地に。やはり百聞は一見にしかず。いま各国の外交使節はここ3年くらいで1200人ぐらい行っているんです。ですから佐藤さんも実際に行って、実際に監視されて何か付けられていれば、それを証言すればいいじゃないですか。だからそういうような間接的な、聞いた話は。

 佐藤 じゃあ本当に朱さん、中国大使館につないでくれますか。

 朱 ええ、喜んで。喜んで中国に。佐藤さんはぜひ。

 佐藤 じゃあ、南新疆のほうに行かせてくれますか。

 朱 はい。ぜひぜひ。

 佐藤 一緒に行きましょう。

 朱 一緒に行きましょう。いい話です。

 鈴木 実際中国政府がこの施設について何と言っているかを見てみましょう。ウイグル族などの拘束理由を再教育あるいは職業訓練だとしているんですね。そして施設は強制収容所ではなく、職業技能教育訓練センターだと説明しているんです。施設ではいったいどのようなことが行われているのでしょうか。

(中国語)

 鈴木 日本ウイグル協会によりますと、こうした中国共産党を称えることが日課とされているようなんですけれども、佐藤さん、これをどのようにご覧になられましたか。

 佐藤 どう見ても異常ですよね。全然子供でもない。大人でしょう。

 鈴木 はい。

 佐藤 大人に対してこういう形で中国に対する忠誠を誓わせるというのは、どう考えても洗脳教育の一環としか見えないし、この映像を見て、多くの日本人もこれが当たり前だとは、普通思いませんよ。まさに学校で子供たちに国歌を教えるというのと全然わけが違いますから、どう考えても異常で、洗脳教育の一つの典型と言わざるを得ないと思います。

 鈴木 朱さんはこれをどのようにご覧になられますか。

 朱 先ほど施設の中でこんなに頭を押したと言うけど、これは誰がどうやって撮ったんですか。これが厳重に監視されているとされているんじゃないんですか。そういう話と、いまの、外でこういう何かの場面で歌っているというのは事実です。ただ、そういう話を全部この教育の中だからと、あ、これですね。こういうのが真ん中で、これがこっそり。

 だってこれは共産党、中国にとって都合が悪いんでしょう。この映像を誰が真ん中で撮るのか。こういうところも常識的に考えて、明らかにでっち上げということは分かりますよ。そして他の映像とですね。これは、私は真実だと思いますよ。そういうところとどこかつなぎ合わせて、だからこれが全部悪いというような結論をつくりだすためのものですよ。

 鈴木 ではもう一つ日本ウイグル協会から提供された映像があるので見てみましょう。こちらの女性は2015年、生後間もない三つ子の子供と一緒に空港で拘束されました。子供と引き離され、強制収容所とされる施設に送られたと主張しています。女性はそのときの状況について語りました。

(ウイグル語)

 久野 このとき、子供たちは生後45日。女性は警察で尋問され、その後強制収容所へ送られたといいます。およそ3カ月後、女性にある知らせが。

(ウイグル語)

 鈴木 佐藤さんはこの悲痛な訴えをどうご覧になられましたか。

 佐藤 胸に迫りますよね。どうしてもウイグル人は漢民族とは違ってアラビア語系、トルコ系ですよね。そういう方に対して、少数民族に対して、特に反発、一部中央政府に対するデモ等があったということから弾圧もやっている。子供を少し抑制するために中国の衛生健康統計年鑑。政府が発表したもので、新疆ウイグル自治区で2014年には卵管を縛る手術が約3100件。

 鈴木 3100件。

 佐藤 これが2018年では6万件と。

 鈴木 6万件。

 佐藤 19倍。男性の精子が出ないように管を縛るというものも、2018年には1000件。また避妊器具を子宮内に入れるというのも33万件。10万件以上伸びている。結果として、ここにきょう持ってきたんですけれども、赤い線と青い線、赤い線が中国全土の平均。

 鈴木 強制不妊手術が行われた件数。

 佐藤 そうです。青い線がウイグル。

 鈴木 跳ね上がっていますね。

 佐藤 2016年までは10万人当たり30ぐらいだったのが、243。これについて中国当局も認めているんです。これは統計の数字ですから。なぜこうなったかというのは、これは家族計画をしっかり徹底したおかげで、どうしても子だくさんというものを抑制するためにこういう形になったと説明しているんですよ。

 鈴木 ただ、他の場所では産児制限をやめていますよね。

 佐藤 はい。でも家族計画というのは、普通の国だと10年ぐらいのスパンで徐々にそういくもので、2年ぐらいで17倍とか19倍になりませんから。これはどう考えても異常と。いまのビデオにもありましたけれども、少しずつウイグル人が増えるのを抑えようというのが見て取れるような気がします。こういうことは絶対にあってはいけない。自分の家族で、親戚で不妊手術というものを強制的にされたり、いまのようにいきなり子供と空港で離ればなれにされて、会ったときはもう亡くなっているということは絶対あってはいけない。こういう状況はやはり改善しなければいけないと思います。

 鈴木 朱さんは、いまの主張をどのようにご覧になりますか。

 朱 まず、この女性の映像というのはあまりにも有名で、いろいろなところに伝わっています。それについて新疆で数日前にこれについての反論の会が、記者会見が行われたんです。

 鈴木 それはどなたが行った記者会見ですか。

 朱 新疆のウイグル自治区。

 鈴木 政府?

 朱 政府。そしていろいろな関係者を呼んでやったんですね。まず疑問点というのは、常識的に考えて、これまでどうやってこの女性が同じ大きさの子供を持っているんですか。3人を同時に産んだんですか。

 鈴木 三つ子だっていうお話ですよ。

 朱 三つ子をわずか45日で引き離されたと。そういうようなこと。45日で。そういうところで引き離されたということが普通考えられますか。そういうところで生きていけますか。ですから、まずこれが第一。第二、この人が言う話自体が、既に調査の結果が公表されています。空港に着いて、もともとがアメリカでウイグル独立の運動をやっているので、行って、いったん拘束された。事実です。その後、自分で反省して問題がないということで釈放され、新疆各地で親戚を訪れたり、いろいろなところに行っている。その映像と、みんなの証言も、いま出ています。さらに今度外に出たら、また主人のところに行って、こういうような話になったわけです。

 鈴木 ただ、ウイグル協会に聞いてみたところ、この女性についてはウイグル自治区生まれで、外資系の会社にお勤めになられていて、エジプト人の男性と出会って結婚して三つ子を授かられたと。知らないところでの子育てには不安があることから、ウルムチに帰省したところを拘束されたということなんですよね。

 朱 戻ってですね、もともと中国で給料をもらっていたので、実際に給料の精算をするということで帰ったんです。この理由というのも、いま証明書も出ているので。そこのことで、言ってみればわれわれも映画を見るのが好きです。一つの映画を見て感動します。しかし佐藤さん、忘れてはならないのは、われわれ研究者としてはやはり提供されたもの、中国に提供されたものを疑っていいし、特定の、明らかに主張というのがはっきりしているという、そういうところに提供されるというのは、もう少し疑いを持ったほうがいいです。

 そしてさっきおっしゃった数字ですけれども、それはれっきと。私は中国の統計年鑑を調べたんです。はっきりいま統計年鑑を言います。中国衛生健康統計年鑑、2009年の数字で、全国で避妊などの手術をしたのは37万件です。その中で新疆は8.7%です。ですから新疆が特に多いということじゃない。ここ数年の人口の伸びでいっても、新疆ウイグル族は、新疆の一般の伸びよりもはるかに高い。そういう数字も合わせて。要するに佐藤さんというのは、中国に都合のいい話はみんな疑うということは分かるんですけれども、悪い数字だからそのまま信じ込むというのもどうかなと思います。

 佐藤 別に私が発表している数字じゃなくて、中国の統計年鑑のほうで、実際にそんなに急激に増えるというのはあり得ないですよ。中国にはいろいろな少数民族がいますから。具体的なやつをしっかり出さないといけない。通常考えてここまで急激な、家族計画でやっていると言っているんですよ。家族計画でここまでやりますか。やらないですよ。

 朱 もう少し広げて言いますと、ご存知のように、漢民族は長年一人っ子政策をやってきました。新疆ウイグル族、カザフ族を含めて、これも制限はあるんです。3人までです。いままで。最近、彼らの貧困解除ということで彼らに、先ほど言った教育、就職活動の訓練を受けて、実はいまの新疆ウイグル族も含めて3人まででいいと。これ以上いらないというのを受けるのが事実です。そういうのがあるんです。だって、そういうのが強制的に、無理にするということが簡単にできますか。そういうことでしたら、この町全体が反乱しますよ。2億人の観光客がどうやって町に来ますか。

 佐藤 新疆って広いんですよ。観光客が行けるのはウルムチとか、その一部であって。

 朱 いえいえ、2億人がですね。

 佐藤 そんなに行かないですよ。朱さん、あまりにもかばい過ぎ。やはり駄目なものは駄目と言わないと、ちょっとおかしい。

 朱 それより、まさに南新疆の……。

 佐藤 いつもの朱さん以上に、きょうはちょっとあせり過ぎ。冷静に話さないと、逆に朱先生の信用度が失墜しますよ。全否定じゃなくて、認められるものは認めないとおかしいですよ。

 朱 それより、ある先入観をもって決めるというようなことじゃなくて、もう少し、われわれはすべての資料についてそのとおり、で、疑うべきです。そのまま鵜呑みにしちゃいけないということです。

 佐藤 慌てすぎ。もっと冷静に話してやらないと、おかしいですよ。

 鈴木 ちなみに、私たちも調べてみたんですけれども、中国政府が発表している統計調査によりますと、新疆ウイグル自治区の人口なんですが、総人口はこのように2017年から2019年で78万人増えているんですね。ところがこちら少数民族、つまりウイグル族を含む少数民族ですけれども、こちらは164万人減っているんです。朱さんはこの数字はどのようにご覧になりますか。

 朱 私も、これについての報道が出たときに、あれ? どうしてかというのをいろいろな専門家に聞いてみて、ようやく答えが得られました。中国の正式な人口統計というのは、全国的に10年に一度しかやらないんです。2010年、次は2020年、数字はまだ発表されていません。その間いろいろな数字は、いろいろな統計の確度はあるんですけれども、これは戸籍による統計。それは新疆ウイグル自治区がやっています。そして中国統計年鑑がやっているというのは常住人口の統計です。ここ数年、新疆から各地に出稼ぎ労働者、各地への留学も含めて増えていて、現地常住の人口が減っているということは事実です。

 鈴木 佐藤先生。

 佐藤 実際、新疆ウイグルのウイグル人というのは、一番の監視対象なんです。われわれ中国へ行っても監視社会で、みんなID番号を持って、赤信号を渡っただけでも目の前のスクリーンに顔とID番号が出る。実はウイグルのほうもかなりそういう部分が徹底されていて、中国の人も言っているように、まさにITとAIの実験場的にかなり進んでいる。

 結果として、統計年鑑というのは結構正しいやつが、ウイグルにいまこのぐらいいますよという部分が出ている。ここは隠さずに出してしまったと見るのが一般的だと言われています。164万人が本当に地方に行って減ったのか、強制不妊治療によって減ったのか、あるいは虐殺があったのかというのは、確たる部分はありませんけれども、いままでの証言とかをみると、そういうようなのがゼロではないと。実際に先ほどの不妊治療の線。

 鈴木 カーブ。

 佐藤 カーブ、これは異常ですから。なだらかに上がるなら分かりますよ。ああいうのを見て、これは異常だと思わないのは、普通の一般社会においてあり得ませんから。そういうことも考えて、われわれは見ないといけない。もっと中国は情報公開をしないと、開示しないと。いまのままでいくと、朱先生の主張というのは少数意見としか見えないし、アメリカもイギリスも年々ウイグルに対する見方は厳しくなっています。そこをしっかり見るべきだと思います。

 朱 イギリスですね、最近ジョンソン首相がジェノサイドというところは拒否したということは小さくは日本で伝えられたと思います。もう少しですね。

 鈴木 ではその話はCMのあと、たっぷり伺いたいと思います。このあと詳しく。

(CM)

 鈴木 いま朱先生がおっしゃいましたジェノサイドを巡っては、国連でナチスの大虐殺をきっかけにつくられた、集団殺害を国際法上の犯罪とするジェノサイド条約が1948年に採択されています。しかし、日本は加盟していません。さらに、アメリカなどにある人権侵害に関与した人物に制裁を科すマグニツキー法などもありません。佐藤さん、これは茂木外務大臣が人権状況については深刻に懸念していると言っただけで、ジェノサイドと認識しているかどうかは明言しませんでしたよね。

 佐藤 日本政府は、まだジェノサイド条約を批准していないんですよ。実は北朝鮮も批准している条約なんです。

 鈴木 えー。

 佐藤 150カ国近くが批准しているんですけれども、日本は国内法の整備等のこともあって、なかなかそこまでいっていない。マグニツキー法もまだこれからと。いま超党派でいろいろな動きがあります。私はいま自民党の外交部会長なんですけれども、今度自民党の外交部会の中にも人権外交プロジェクトチームというのを初めて立ち上げるんです。前は、自民党も人権という部分については、日本政府が欧米と一線を画してアジア外交を展開したいという観点から、どちらかというと歯切れが悪かった。私も副大臣のときも歯切れが悪いことを言わざるを得なかったという反省の下に今回PTを立ち上げた。バイデン政権も人権を重視する。欧州はもともとそうですから。日本もこのままだとG7で浮く可能性がありますし、去年1年間の香港やウイグルの問題を見ても、他のアジアの人権とは格が違う。日本ももう少し人権外交を強化すべきだという思いから立ち上げました。

 日本も何もやっていなかったというのは違って、条約には入っていませんけれども、ICC、国際刑事裁判を規定するローマ規定には入っていて、これによって国際犯罪的なものは当然ICCを通じて罰する。また、新疆あるいは香港等の人権状況について、国連の第三委員会とか人権理事会で懸念表明のステートメント、それにはアジアで唯一日本が入って提案していますから。ただ、隣の韓国も入っていないんです。そういうふうに日本としてもやれることはやっていますけれども、十分かというと私は余地があると思っていて、今回自民党のほうで初めて人権について正面から向き合うPTを立ち上げたり、実は前回自民党の外交部会で新疆ウイグルの問題を議題として取り上げたのは初めてだったんです。

 鈴木 初めて。

 佐藤 それを含めて、これからやはり昔と違う。天安門事件のときの反省もありますからね。価値観外交の軸に人権というのは間違いなく入りますから、そこはしっかりやりたいと思っています。

 鈴木 つまり天安門のあと、中国にもの申さなかったという案件ですね。

 佐藤 G7の中で唯一日本だけが中国配慮で。天皇陛下の訪中というのも、あとで中国の外務大臣が言うように利用したと。われわれは利用されたということ。中国が豊かになって、その考え方が国際標準のようになるかというと、そうはならずに、豊かになったら今度は軍事力まで拡張して、いま覇権的な膨張主義でどんどん、東シナ海、南シナ海、いろいろなところに広がっている。これはどう考えても、いまやり方がよかったというようには言えないと思うんです。

 鈴木 そうですね。政府が中国との経済関係を優先して、どうしても弱腰になってしまうんじゃないかということで批判が。

 佐藤 金か人権かというのは、二者択一じゃないはずなんです。われわれの基本的人権は普遍的な価値ですから、そこは譲ってはいけない部分がある。ただ、経済を全然やらなくていいというわけではありませんから、そこは。経済というのは当然大事ですけれども、だからといって、人権の状況について目をつぶっていいというわけではない。これをしっかりとやらなければいけない。これはミャンマーについても同じです。きょう自民党のほうでミャンマーの軍事クーデターに対する非難決議をやりました。われわれは西側で唯一ミャンマーの軍部と話ができる国です。だからといって、何もやらない、非難をしないというのはおかしくて、真の友であれば「これは駄目だよ」と言いながらも、しっかり話をしながら、解放とか民主化のほうに持ってくる。中国に追いやらないということがまさに日本外交にとって大事な。これから本当に人権と経済という部分のバランスを、もう少し人権のほうにバランスを戻さないと、私は結果的に経済もうまくいかないし、国際社会の中で孤立する可能性があろうかと思います。

 鈴木 やはりバイデン政権になりますと人権重視になると思いますし、6月にはイギリスが議長国でサミットもありますよね。それまでに一定の結論を見るということでしょうか。

 佐藤 はい。人権外交プロジェクトチームでは、遅くとも6月のサミットまでには日本の人権外交のあるべき方向、そして重点政策を提言としてまとめたいと思っております。また、もう一つ台湾政策も、バイデン政権の対中政策の一つの柱になりますから。これも日本政府として若干弱いところなので、そこも人権外交と併せて台湾政策、このプロジェクトもきょう立ち上げました。

 鈴木 はい、そうですね。朱さんは、こうした日本の動きを、どう見てらっしゃいますか。

 朱 人権重視そのものは当然いいことですけれども、各国とも人権の問題がある。最近の日本では女性差別というような話が世界的な話題になっています。これで、中国という国がもっと人権改善すべきというのは私もそう思います。ただ、もうちょっと30年、20年、10年のスパンで見たらどうか。30年前の中国では自由に旅行ができない。ホテルにも簡単に泊まれない。それが10年前ですら、日本に来る人が、例えばオーバーステイ、密入国する。いまそのような話がない。一昨年は1000万人近くが日本にやって来ました。彼らも中国のものは遥かにまだ日本には及ばないことは分かっています。しかし中国も徐々に改善している。次に行く。

 そういうことを私が踏まえて言いたいのは、日本というのは中国にとって建設的なアドバイザーになれると思います。中国はこうすればもっと世界的にいろいろと評価されると。中国は何と言っても本当に、世界に出て日がまだ浅いんです。そういうのが、いま世界で上手にやっているとはとても思いません。ただし……。

 佐藤 10年、20年で見ろということが、それをもっていまのウイグルあるいは香港の人権状況を黙認しろということには全然つながらないです。

 朱 いやいや、それは全然違います。

 佐藤 それは香港を含めて、しっかり朱先生も駄目なものは駄目と言わないと駄目です。

 朱 ええ、そのとおり。いま香港について私は逆に聞きたいんですけれども、なぜアジアでただ日本だけが香港を批判し、他のすべての国が批判しないのか。どうしてですか。

 鈴木 はい、それでは香港の話はCMのあと、たっぷり伺います。

(CM)

 鈴木 香港では反政府的な動きを取り締まる香港国家安全維持法の施行後、警察による取り締まりが強化されています。朱さん、警察の締め付けの強化に市民から不満の声も上がっているようですけれども、この現状をどう見ていらっしゃいますか。

 朱 香港は、もちろん植民地時代を含めて、皆わりに自由にやってきた。ですからもっと自由が欲しいという気持ちは、私も香港に友人がいっぱいいてよく分かります。しかし一昨年の後半、ここまでの暴動・混乱、空港まで占拠し、立法会まで乱入し、そして各駅やいろいろなところを破壊し、ATMとかを破壊する。そのようなことに対して、やはり香港の市民というのは、いまのところおそらく「では安全での香港か」と。それに対していま不自由というのは分かるんですけれども、いまの時点で何を選ぶか。香港が完全に麻痺していいのか。そういうところを現時点で私は、香港の人は、いまのところは安全で自分の生活ができる基盤ができる香港を選んだと思います。

 何と言っても7月1日の新維持法施行後、香港の株価は下がっていません。ぐんぐん上がっています。香港で大規模なデモは起きていません。流失というのは、ごく一部の活動家を除いて流失していません。私は、香港の人は別にいまのことでいいとは思わないですけれども、複雑な気持ちの中で、しかしあの混乱で、これは駄目だと。実際アメリカあるいはいまの報道の多くはダブルスタンダードではないかと。アメリカで警察が黒人を殺したり、連邦議会に突入して女性が殺されたり、そのようなことがなぜ追及されないのか。香港で同じ国会である立法会に乱入して、そのようなことで?しているのは「それが民主化のためで、許される」と。私は、ちょっとそれはおかしいと思います。

 鈴木 佐藤さん、どう見てらっしゃいますか。

 佐藤 これは、デモがいまできないんですよ。でも、デモというのは民主主義の中で表現の自由、集会の自由、これは認められる権利なんです。暴力的なデモはいけませんけれども、やはりデモというのは認められるべきであって。ただ、その前に今回民主派関係の議員がいっぱい捕まったじゃないですか。香港政府が発表しているのが、今回の香港国家安全維持法によって97人捕まえた。その中に民主系の議員も結構入っていると。一度国会の下に当たるような次の選挙で民主派が勝ったじゃないですか。あれに慌てて、このまま行くと立法会、国会に当たるような香港の選挙が大変になるということで、ブワーッと?触れて捕まえたじゃないですか。こういうことをやって、香港の自由・民主主義というものが世界に通じるか。これは全然通用しないですよ。朱さんがいくら言っても、今回の選挙妨害的なやり方は絶対通じない。

 朱 まさにそこで先ほどご質問したんですけれども、いまのような話ですね、一方的に香港が悪い。私も香港もいろいろ問題があるというのは分かっていますよ。しかし、なぜ香港のことをここまで。一国二制度はもうなくなったと、そういうことをアジアでただ日本だけ批判するのか。韓国、インドも批判しない。それはどうしてですか。

 佐藤 でも実際国連のステートメント、日本は香港を批判するほうに入っています。

 朱 そう。

 佐藤 だけど韓国とインドは反対するほうにも入っていないんです。要は黙っているんです。韓国、インドは経済的なこともいろいろあって、反対のグループには入っていない。もうチャックです。

 朱 インドが中国に経済的に依存というのは何もないですよ。

 佐藤 だから今回入っていないんですよ。

 朱 どうして。

 佐藤 だから韓国を含めて今回反対のステートメント、香港のに入っているのは、アジア諸国の中でたった10カ国です。あとはみんな黙っているんです。だからそこは反対のほうを見て言わないと。賛成しているのは日本。日本は当然香港の人権状況についていいと思っていないから、懸念表明のステートメントに入っているんです。

 朱 いま国連人権委員会で、中国の香港に懸念を呈した。私はそれ自体が悪いという否定はしませんよ。それは合わせて27カ国です。しかし中国の香港政策はこれが正しいと、主権を守るのが優先だと賛成したのは、国連人権委員会で70数カ国です。それをどう解釈しますか。

 佐藤 50何カ国です。

 朱 最初は50何カ国。あとでまた?発現したんです。70数カ国です。

 佐藤 当然、今回数字は結果的に中国支持のほうが多い。でも、よく言われるのは、一帯一路によって相当に覇権が広がっているんです。そういうことを見て、だから今回の香港の状況、これは朱さんもやはり問題はあると言った。そこは正直に、こういうところは問題だと言わないと。選挙妨害、選挙の民主派議員を、あそこで予備選挙で、例えば日本で野党議員がいまの菅政権を倒すと言って捕まっているんです。そういうことが認められるということがあってはいけない。

 朱 いいえ、違います、違います

 佐藤 いや、事実ですから。同じことですよ。

 鈴木 はい。こうした中、香港市民の大脱出が始まるかもしれません。イギリス政府は、香港からの移住を受け入れる特別ビザの申請受付を開始。申請資格があるのは、香港市民のおよそ7割に当たる540万人に上ります。佐藤さん、このイギリスの特別ビザの発給をどのようにお考えになりますか。

 佐藤 これはもともと香港がイギリスから中国に返還されるときに、そのときに住んでいた香港の方は英国の海外人ということでビザを持っているんです。290万人はいます。それがいま540万人にビザを与えるというのは、扶養者もすべて加算すると、全体の7割ぐらいいくわけです。そのぐらいいまの香港の状況、やはり英中共同宣言を無視して一国二制度が一国一制度のような状況になっている。これは看過できないということで、希望すればイギリスに来ていいですよというふうに緩和条件を広げて、最低5年間滞在できますよということまで認めている。これはイギリス政府がかなり思い切った、移民政策の中でもちょっと違った形で、同じ英国の仲間ということをPRする意味でも極めて思い切った政策だと私は思います。

 鈴木 はい。世界で中国の人権問題への懸念が広がる中、菅総理は習主席とどう向き合うべきか。このあと伺います。

(CM)

 鈴木 さて、一時は習主席の国賓来日というお話もありましたけれども、佐藤さん、これだけ人権問題が噴出していると難しいんじゃないでしょうか。

 佐藤 いま政府は建前として、コロナの状況下では日程協議を話し合う状況ではないと言っていますけれども、このぐらいの人権状況が西側諸国を含めて批判された中で、天皇陛下のお客さんとしての国賓というのはあり得ない。国民の対中感情もいま非常に悪くなっていますし。そういう中で、菅総理と習主席がG20で会って話す、これはいいと思います。ただ、日本に天皇陛下のお客さんとして迎えるというのは、いまの状況では私は多くの国民の支持も得ることは難しい状況だと思っています。

 鈴木 朱さんはどう見てらっしゃいますか。

 朱 中国国家主席の訪日というのは、コロナのこともあるし、米中ということもあるし、日本もおそらくアメリカの対中政策を見定めてから次の姿勢を考えるという一面もありますので、バイデン政権がいろいろと?タンソクの希求は出しているんですけれども、おそらくバイデン政権の対中政策・戦略が決まるというのは半年ぐらいかかる。その間、日中というのは実務的には交流は持てても、首脳外交は難しい。それは分かります。

 ただ、その間に一番重要なのは本当の相互理解です。中国はもっと日本人の気持ち、日本のことを理解するとともに、中国は実はいろいろ変わっている。それは外での一部の?いいつけだけで見るのではなくて、もう少し理解するということですね。そういう意味で私は、きょう佐藤さんと非常にいい、一つの合意ができました。これから一緒にカシュガル、新疆を見に行こうというところを、ぜひ私も夢を持って、一緒に行って一緒に帰って来たいと思っています。

 佐藤 帰って来られますか。

 朱 一緒に、ぜひ。

 鈴木 このあとは、今後の注目ポイントについて伺います。

(CM)

 鈴木 きょうは中国の人権問題について伺ってきました。最後に今後の注目ポイントをお伺いします。まずは朱さん、お願いします。

 朱 私は、やはり米中関係の行方というのは一番注目すべきだと思います。バイデン政権になって、中国とどうしていくのか、いまいろいろと互いに探り合いをしているところだと思うんですね。台湾問題について、中国は核心利益で絶対譲らないんだと。アメリカも最近になって蔡英文さんを総統と呼ばずに、台湾の民意の代表と呼んだり、そして一つの中国というところは守るんだと。もちろんアメリカ流の解釈はあるんですけれども、そこはそれで少し折り合いをつける。そして、これから新疆・香港を含めて、そういうようなところを互いに詰めていくので、中国もアメリカ政府から新疆に代表団を派遣してほしいということも出していますので、そういうところを注目していきたいと思います。

 鈴木 佐藤さん、いかがでしょうか。

 佐藤 私はやはりアメリカの対中政策の中で、人権外交が5本柱の中で何番目に入るか。5本柱というのは安全保障政策、気候変動政策、貿易問題関係、今回の台湾政策、そしてもう一つが気候変動ですね。この五つの中で、どのへんにこの人権が優先順位で入るかという部分を見ないと、なかなかこれからは難しいと思います。ブリンケン国務長官は、人権をかなり重視すると言っています。でも、元上司のケリーさんは気候変動ですから。

 この台湾をめぐる、あるいは尖閣をめぐる、南シナ海をめぐる軍事的な緊張は高いままです。だから、どういう優先順位でアメリカが対中政策で人権を位置付けてくるか。優先順位。それによって日本も同盟国も、それに向き合わないといけなくなりますから。いままでみたいに、日本はちょっとアジア配慮で目をつぶるというのは難しいので、ここはやはりふんどしを締めて、しっかりやるということが大事だと思います。

 鈴木 なるほど。私たちは香港や新疆ウイグル自治区で起きていることから、決して目をそらしてはならないと思います。政府はアメリカなど同盟国と連携して、中国に対して粘り強く働きかけていってほしいと思います。朱さん、佐藤さん、本日は誠にありがとうございました。深層NEWS、また来週お目にかかります。皆さま、どうぞ素敵な週末をお過ごしください。失礼いたします。